石垣島のアクアリウムショップ「シーピーファーム」

自然を傷つけずより自然に優しく、より広く自然のすばらしさを伝える

ナチュラルシステムの利点

ナチュラルシステムの魅力

ナチュラルシステムの出現によって私たちのリーフタンクは、従来の生物濾過のシステムではたどり着くことが出来なかった、きわめて健全で最高に近い環境をタンク内に再現できるようになりました。
ソフトコーラルはもちろんミドリイシ等のハードコーラルが大きく成長する。また生き物たちが海の中と何ら変わらない生き生きとした姿で、我々の目の前で個性あふれる自然な行動を繰り広げる。

私がナチュラルシステムと生物濾過のタンクを見比べて、いつも感じることはナチュラルシステムでは生物がより自然の状態に近いということです。従来の生物濾過タンクでは長期間水槽で飼育されている生体は、例えばウミキノコでは傘部が小さく茎ばかり太い不格好な個体や、極端に間延びしたウミアザミ等、自然の海の正常な形態とは異なってくるケースが多いようですが、その点ナチュラルのタンクでは海中と同じような形態を何世代にもわたって保つことが出来るようです。

石垣島シーピーファームではストックタンクや写真撮影用タンク、デモタンクもすべてベルリンスタイルで維持されています。以前はすべてドライ&ウエットの生物濾過システムでしたが、清浄な天然海水が身近にあって、手軽に大量の水換えを行える環境にありながら、ベルリンスタイルのナチュラルシステムに切り替えた理由は、ナチュラルシステムの方がそこにストックする生物の状態をより高いレベルに維持できるからに他なりません。

もちろん生物濾過システムでも非常に状態良く維持されているタンクはありますが、その状態を維持するためには、長年失敗を繰り返して初めて体得することが出来る「感」が必要となるように思います。
こういう話をすると「うちでは旧式の生物濾過システムで水換えも半年に一回で充分だ」等という例外が必ず出てきますが、それはその人だから出来るのであって誰でもその方法をまねて、同じ結果を手に入れられるものではないようです。
ナチュラルシステムのもう一つの大きな魅力は珊瑚礁の生態系のサイクルを、そのままタンク内に持ち込むおもしろさにあるでしょう。
ナチュラルリーフタンクの海の一部をそっくりそのまま切り取ってきたような水景は驚きと発見の連続であり見るものを魅了します。
例えばライブロックからは次から次へと見たこともないような生き物が姿を現す。毎晩水槽の照明を消した後に、真っ暗なタンクの中を懐中電灯を照らしながら探検をすると、そこは不思議で奇怪な夜の生き物達の世界です。

このような生きている自然を間近に観察し、自然の偉大さを感じることはナチュラルシステムの大きな魅力で、その小さな生態系を愛おしみ維持発展するように考えて、尽くすことは自然を学ぶ最高の勉強であると思います。

労力

生物濾過システムのリーフタンクでは、ほとんどの場合水質環境を維持するために2週間〜1ヶ月に一度、タンクの全水量の50%〜100%の水換えが必須となります。それは生物濾過システムの窒素循環サイクルを担う重要な構成員として「水換えによる栄養塩の除去」が必須であるからで、水換えなしにはサイクルが完結しません。

これに対してナチュラルシステムでは、換水の目的は栄養塩の除去ではなく次第に少なくなっていく微量元素の添加が主な目的であり、ほとんどのタンクで数ヶ月に一度全水量の5〜10%程度の換水で事が足りてしまいます。
この換水のあるなしの労力とコストの差は大きく、この点もナチュラルシステムの大きな魅力の一つであると言えます。

ナチュラルシステムでは換水の代わりに、Kalkwasserの添加やプロテインスキマーの汚水カップの洗浄、微量元素の添加等が必要になりますが、タンクを維持するために我々が行わなければならない労力をトータルで考えると、ナチュラルシステムの方が仕事ははるかに少ないと言えるでしょう。

経験的にナチュラルシステムは、ほおっておいたほうが状態が良いということが多いようです。あれこれと人間が手を加えるよりも、Kalkwasserの添加などの最低限必要な世話以外はタンク内の生物に任せて人間は見てるだけにした方が、良い結果が得られる事が多々あります。それはナチュラルシステムがより自然なシステムであるということで、生物濾過システムのタンクとの大きな違いでもあります。

安定性

ナチュラルシステムは一端安定してしまえば思いのほかタフで強靱なシステムで、よく思われがちな「ナチュラルシステムは微妙なバランスの上で初めて成功させることが出来るデリケートで傷つきやすいシステム」という観念は間違いです。

水槽内で大きな二枚貝が知らないうちに死んで腐敗していた・・・等というアクシデントの際の耐久力は、ナチュラルシステムも生物濾過システムもほとんど差はないと思います。

「いやそんなことはない。ナチュラルシステムはとてもデリケートで壊れやすいものだ」という人のタンクはライブロックが良くない場合が多いようです。ライブロックはナチュラルシステムを支える土台であり、そのライブロックの生物層が貧弱なシステムはもろく崩れやすいものとなってしまいます。

以下は極端な例であるかもしれませんが、石垣島シーピーファームのタンクは全てベルリンスタイルで管理されてます。商業的に利用するタンクは一般のホビーストのタンクとは大きく性質が異なります。例えば出荷前ストックタンクでは、ライブロック、ライブサンドをのぞいておおよそ全ての生体が、数日間のサイクルで入れ替わり立ち替わりします。ホビーストのタンクのようにある程度決まった構成員で、一ヶ月単位の時間をかけながら変化を見守る時間的余裕はありません。常に継続して生物的バランスを維持する機能はライブロックとライブサンドにのみ頼っていることになりますが、それでも生物濾過システムよりベルリンスタイルの方が安定して、ストックする生体の状態が良いのです。

安定性という点でもう一つの見方に、さらに細かいレベルでの環境要因があります。海はきわめて安定した環境であり、リーフタンクの生物達はその安定した環境に順応したデリケートな生物です。例えば水温を考えると、一般に広大な海の中では一日を通じてほとんど水温の変化はありませんが、水槽という限られた環境では外気の影響で、昼と夜では水温が0.5度位変わってしまうようなケースは往々にしてあります。毎日0.5度水温が上下するという事は、あきらかに自然の海とは違う異常な環境で、致命的ではないが少なからず生物達に無理を強いることになり、なんとなく状態が良くない、本調子ではないというようなことになってしまいます。

水温に限らず、水質、水流、光等全ての環境要因に同じような安定性が求められます。海の生物達は究極の温室育ちばかりです。このような点において生物濾過システムの大量換水は、水質や水温、比重等の劇的な変化をもたらし、良くない結果を招く事が多いのかもしれません。